「梅雨の気配」
気象庁は5月28日、九州・四国地方の梅雨入りを発表しました。
例年より8日早く、昨年より23日早いとのこと。
中国地方の梅雨入りは、平年6月7日頃のようですが、近いうちに梅雨入り発表があるかも知れません。
レイニーシーズン(The rainy season)、鬱陶しい日々となります。
手元に『雨のことば辞典』(講談社学術文庫)があります。
266pの小さな文庫本(定価税込1015円)
まえがきに
古い統計資料だが、日本洋傘振興協議会の調査によれば
日本人一人当たりの傘の所有本数は、男1.8本、女3.5本で4~5人家族の家庭には10本の傘があるのが普通と言われます。
一人当たりでは3.3本で世界一。
二位はスウェーデン、タンザニア、南アフリカで3本とのこと。
1984年頃、日本における傘の1年間の需要は約6000万本、アメリカは約2000万本、ヨーロッパ全体でも約2000万本という。
今は、車の普及で、傘を持たない人が増えているかもしれないが、日本人の傘の所有数は、図抜けている。それだけ、日本人の暮らしと雨の関係は特に深いといえます。
昔から日本人は、災害と恵みをもたらす雨と付き合いながら暮らしてきました。
日本語には雨にまつわる言葉が多い。
本書には、雨にまつわることばが約1,200語ほど集められ解説されています。方言の集録も多い。また科学的な解説だけでなく、その言葉が使われた俳句や古文などの例示もあります。
いくつ読めますか?意味はわかりますか?
「青梅雨(あおゆつ)」「青葉雨(あおばあめ)」「秋徴雨(あきこさめ)」
「育花雨(いくかう)」「催花雨(さいかう)」「花しぐれ」
「春驟雨」「春みぞれ」「送り梅雨」「夕雨」「雪時雨」「驟雨」
この地方の方言で収録されているのは、
「あさもだえ」(島根県八束地方のことば)長くは降り続かない。
「あらこと」(鳥取県八頭地方で激しい雨のことをいう。「荒事」だろうか)
雨だけでもこれだけ豊かに表現できる日本語の豊かさ、美しさ、奥深さを感じています。
梅雨期は大雨による災害の発生しやすい時期です。
梅雨明け後の盛夏期に必要な農業用の水等を蓄える重要な時期でもあります。
ケヤキの木にとっても恵みの梅雨、雨になりますように。(I)